「鎌倉彫」とは?

鎌倉彫とは神奈川県で主に生産される漆工芸品の伝統工芸品です。木地に模様を彫りこみ、その上に朱、青、黄など色漆を塗り重ねて磨き仕上げます。木地は彫りやすいカツラの木が主に使われ、多種多様な彫刻技法が用いられます。

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鎌倉彫は13世紀、中国の宋から陳和卿が伝えた紅花緑葉を真似て仏師の康運が堆朱(ついしゅ)や堆黒(ついこく)などの影響を受け、工夫をこらしながら木彫漆塗りの技法で仏具を作ったのが、鎌倉彫の始まりとされています。室町時代には茶の湯の興隆とともに茶道具として大いに珍重されました。

仏具や茶道具の制作に携わっていたのは仏師でしたが、明治新政府の公布した神仏分離令が、廃仏釈の運動を引き起こし、寺院の衰退から仏師の仕事は激減しました。

鎌倉では、多くの仏師が転職を余儀なくされる中で、二人の仏師が活躍します。一人は後藤齋宮(ごとういつき)、もうひとりは三橋鎌山(みつはしけんざん)でした。二人は仏像彫刻の技術を生かしながら、新しい活路を鎌倉彫に見いだし、今日の発展の基礎を築きました。