法制審議会(法相の諮問機関)は10日、相続や住所・氏名を変更した時に土地の登記を義務付ける法改正案を答申
相続から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料。
所有者に連絡がつかない所有者不明土地は全体の2割程度に達し、土地の有効活用の弊害。
法制審の総会で民法や不動産登記法などの改正案の要綱を示し、政府は3月に改正案を閣議決定、今国会で成立させ、2023年度にも施行予定。
現在相続が発生しても登記は義務ではなく、申請しなくても罰則なし。
法務省によると所有者不明土地が発生する理由の66%は相続登記がなし、34%が住所変更の不備。
改正案では取得を知ってから3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料。
住所変更や結婚などで氏名が変わった場合も、2年以内に申請しなければ5万円以下の過料。
法人が本社の登記変更を届け出ない場合も過料の対象。
一連の罰則は、法施行後に新たに相続する人らが対象で、施行前の相続などに伴う問題は一定の猶予期間を定めて適用する見通し。
登記手続きの負担は減らし相続人のうち1人の申し出で登記ができ、10年間届け出がなければ行政が法律で定める割合で遺産を配分する「法定相続」にする。
モバイル金融が新興国席巻
所得は不問で口座数5年で3.5倍。
携帯電話を介してデジタルで決済や送金を完結するモバイル金融が新興国を中心に急拡大。
口座維持費やカード年会費は無料で低所得者層に浸透。
契約者数は3400万人と19年末から1年余りで約1.7倍に増加。
新興国のモバイル金融の草分けとされるのはケニア共和国の通信会社サファリコムが2007年に始めた「M-PESA(エムペサ)」。
かつては現金を地元へ持ち帰っていた出稼ぎ労働者が、今は携帯で家族へ送金でき、利用者数はアフリカの7カ国で4000万人超。
ケニアでは成人の7割以上がモバイルマネーの口座を持つ。
モバイルに特化した新興金融サービスの口座数は19年に2010億4000万件で5年前の3.5倍。
新興国特有の仕組み「エージェント」と呼ばれる街中の小売店やバイクタクシーの運転手らが金融機関の店舗の役割。
利用者は現金で受け取った給与などをエージェントに持ち込むとモバイル口座で入出金ができ、店舗なしでも現金とデジタルマネーをつなげられる仕組み。
エージェントは2019年に770万と5年で3倍に増加。
世界のATM数より多く、銀行支店数の20倍の数に成長。
2019年世界で1760億ドルの現金がエージェントを通じてデジタル化。
国際通貨基金(IMF)は金融サービスの浸透度合いを示す地域別の「デジタル金融包摂指数」を公表。
1に近いほど広く浸透、2017年までの3年間にアフリカは0.3弱から0.5台、アジア太平洋は0.2台から0.4台へ上昇。
世界でモバイルマネーも含む金融口座を持つ成人の比率は、2017年に69%と2014年(62%)から7ポイント上昇。
口座を持たない成人は20億人から17億人に減少。
インド30品目関税上げ
インドは地場製造業の振興に向け、2月初旬に約30品目の関税を引き上げ。
中国からの輸入が多い太陽光発電や携帯電話などに関連する部品を対象。
インドは太陽光関連部品の8割ほどを中国からの輸入に依存。
2020年11月に東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加を見送ったインドは、貿易保護主義をさらに強める傾向。
太陽光の関税では電気を家庭や工場で使えるように変換する電源回路装置や照射器を従来の5%から15~20%に引き上げ。
携帯は電子部品同士の接続を担うプリント基板やカメラを0%から2.5%、充電器を0%から10%。
冷蔵庫とエアコンの圧縮機は12.5%から15%、自動車では点火系統装置や方向指示器などが7.5~10%から15%。
中国などからの輸入をなるべく抑えて、地場製造業の生産活動を後押しする狙い。
インドの2019年の輸入総額は約4800億ドル(約49兆円)で国別では中国が全体の14%と最も多く、コロナ禍で中国など海外から最終製品や部品が届かなくなり、インドの経済活動が停滞する一因。
地場製造業が低価格で生産できる環境を整えるため、鉄鋼といった原材料の関税は逆に引き下げ。
くず鉄は関税を2.5%から0%、石油化学製品の基礎原料となるナフサも4%から2.5%に下げた。