- 米カード決済、寡占にメス
- 中国、融資に「秘密条項」多用、途上国と不平等契約
- 慶応義塾大学発のスタートアップ企業、スパイバー(山形県鶴岡市)がタイで、クモの糸にヒントを得た全く新しい繊維の原料量産に乗り出す
米カード決済、寡占にメス
米バイデン政権下で政治や司法が寡占度の高い米カード業界に厳しい目。
司法省は反トラスト法(独占禁止法)違反で最大手ビザを調査。
焦点は加盟店が払う決済手数料、ビザやマスターカードは2022年4月まで据え置く異例の措置を打ち出す。
2019年の一般消費者による米カード決済高(クレジットとデビットの合計)のシェアはビザが60%、マスターの25%、アメリカン・エキスプレスの12%。オンラインのデビット決済取引に絞ればシェア7割。
2020年11月、司法省はビザが合意していたフィンテック企業「プラッド」の買収が独禁法違反だとして両者を提訴、ビザは今年1月に買収を断念。
中国、融資に「秘密条項」多用、途上国と不平等契約
中国が発展途上国向けに融資する際、中国にとって有利な返済条件となる「秘密条項」を多用していることが明らかになる。
中国経済の成長が鈍るなか、対外融資でも債権回収を重視するようになったことが背景。
分析した契約の4分の3は、中国の融資がパリクラブ(主要債権国会議)が主導する債務整理を拒否できる条項を盛り込んでいた。
中国に敵対的な行為を取らないことを、契約に明記した事例も判明。
中国国家開発銀行は2010年にエクアドルと10億ドルの融資契約を交わす。
その際に「エクアドルの政府機関が中国の不利益になる行為」をした場合、債務不履行とみなして貸し手が全額返済を求められることを規定。
慶応義塾大学発のスタートアップ企業、スパイバー(山形県鶴岡市)がタイで、クモの糸にヒントを得た全く新しい繊維の原料量産に乗り出す
軽くて丈夫なうえ、石油由来でないため生分解できるのが特徴で、アパレルや自動車産業の需要を開拓する。
構想から14年で量産にこぎ着け、2023年以降に米国でも生産を始める計画。
2007年に産声を上げたスパイバーは日本で数少ないユニコーン(企業価値が10億ドル=約1100億円以上の未上場企業)。
量産を始めるのは人工たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」の原料。
この素材はグルコースなど植物由来の糖類を微生物に与え、発酵させて作る。
軽量で、強靱(きょうじん)さや柔軟性を備える循環型の素材として注目を集めている。
タイを初の量産拠点に選んだのは、微生物に与えるバイオマスを安価に調達できることが大きい。
すでにトヨタ紡織やトヨタ自動車系の有力部品メーカーである小島プレス工業(愛知県豊田市)などがスパイバーに出資。
「技術力を武器に新製品などを開発するスタートアップには、量産できるかどうかという『死の谷』が待ち構える」(関山代表)。まずは第1関門をクリアした形のスパイバーだが、次なる課題はタイでの安定生産。
化学繊維のように石油を使わず、毛皮のように動物の犠牲も必要ない。
ESG(環境・社会・企業統治)投資の流れが強まる中、世界中から問い合わせは絶えないが、タイはマザープラントとして世界各地に構想する量産工場への知識の移転など重要な役割を担う。
「ようやくスタートラインに立てた。まずはアパレル、そして自動車分野に広がれば、地球環境に大きなインパクトを与えられる」。関山代表が掲げる未来図の実現に向け、スパイバーの挑戦は緒に就いたばかり。