先日の4月10日、総務省が第5世代通信規格「5G」の周波数を、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の4社に割り当てました。
割り当てられた合計10枠の周波数のうち、3.7GHz / 4.5GHz帯が6枠(1枠が200MHz帯)で、28GHz帯(1枠が400MHz帯)が4枠ですが、28GHz帯に関しては、各社1枠ずつ割り当てられたましたが、スマートフォンでよく使用される3.7Ghz / 4.5GHz帯の割り当てが、NTTドコモとKDDIが2枠で、 ソフトバンクと楽天が1枠でした。
6枠に対して7枠の申請(3社が2枠で楽天が1枠)がありましたが、結果、ソフトバンクが1枠しか割り当てを得られないという結果になりました。
なぜ、ソフトバンクは割り当て競争に負けたのでしょうか?
それは、ソフトバンクのビジネスモデルが大きく関係しています。
今回、総務省は割り当ての優先順位を決める際、各社の5Gへの取り組みなどをポイント化しました。
4Gまでは、「人口カバー率」が求められていましたが、5Gでは、「基盤展開率」が基準として採用されています。
「基盤展開率」とは、日本全国を100平方キロメートルの4500区間にわけ、その区間におけるカバー率のことです。
5年後の5Gの「基盤展開率」が、NTTドコモとKDDIが90%超であるのに対して、ソフトバンクが64%、楽天が56%の予定だそうです。
それは、各社が周波数割り当て申請の際、総務省に提出した5G設備の投資予定金額が物語っています。
NTTドコモ 7950億円
KDDI 4667億円
ソフトバンク 2061億円
楽天 1961億円
(新規参入する楽天は、ネットワークをソフトウェアで仮想化して設備コストを抑制する模様)
現在の4G世代でも、ソフトバンクの「基盤率」は、あまり良くありません。営業で全国各地を回っている人なんかは、実感があるのではないでしょうか。大阪でも、少し郊外にいくと圏外、もしくは、アンテナが1~2本ということもあります。(泉佐野市に住んでいる同僚は、電波が悪すぎてドコモに変えました。)
ソフトバンクは、「人口カバー率」に資本の集中、つまり、個人向けに特化した戦略、それも人口の多い都市部に集中させ、少ない設備投資で利益率を高めているのです。
しかし、その結果、5G周波数の割り当て競争で負けてしまいました。
5Gでは、地方の工場や工事現場、農場などのビジネス分野において用途が増えてくることでしょう。その時、ソフトバンクは大きく出遅れる懸念があります。
NTTドコモなどは、すでに農場におけるドローン実験なんかをおこなっています。国内の個人向けの需要が頭打ちする中、ビジネス分野に移行していかないとソフトバンクは先細っていくのではないでしょうか。