「樺細工」とは秋田県仙北市で主に生産される伝統的工芸品で、桜(主にヤマザクラ類)の樹皮を利用して作られる木工工芸品です。樺細工という名前ですが、実際に樺類が使用されることはなく、材料はオオヤマザクラ及びカスミザクラの樹皮だけです。
角館の樺細工は、天明年間(1781~1789)にかけて佐竹北家の手判役、藤村彦六によって御処野家(現在の合川町鎌沢)から伝授されたことから始まりまり、現在の形で生産されるようになったのは18世紀頃で、下級武士の手内職(副業)として生産されていました。一般的に小さなものが多く作られ、昔は、印籠や胴乱といったものにが多かったのですが、現在では、茶筒や小箱などが作られています。樺細工にはこれらの乾燥した物の湿度を一定に保ち、外部からの変化から守る特徴があります。
角館の樺細工は次の3つの工法から作られます。
①型もの
仕込みものともいい、木型に合わせて芯を作り、その上に樺を貼り付けて筒状のものを作る工法です。主な製品としては、古くは印籠や胴乱が多く、現在では、その伝統的な技法を最大限に活かした茶筒が代表的です。
②木地もの
下地に木地を使ったもので、箱物が多く作られます。明治30年代から始まった工法で、その製品には文庫・硯箱・テーブル等が挙げられます。
③たたみもの
磨いたヤマザクラの樹皮を数十枚も重ね貼りし、厚くしたものを、様々な形に彫刻する工法です。古くは印籠や胴乱の根付、緒締を作る技法でしたが、最近はブローチ・ペンダント・ループタイ等の装身具を作る技法に応用されています。