「入唐求法巡礼行記」とは?

「入唐求法巡礼行記(にっとうぐほうじゅんれいこうき)」は、平安時代の遣唐使の僧「円仁(慈覚大師)」らが、838年(承和5年)に博多を出発して揚州に向かってから847年に帰国するまでの10年間中国各地を巡礼した日記体の旅行記です。(ちなみに、円仁は、836年(承和2年)に1回目の渡航が失敗し。、翌837年(承和3年)に再び渡航を試みましたが失敗しています。)

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「玄奘」の「大唐西域記」、「マルコポーロ」の「東方見聞録」とともに、東アジアの三大旅行記といわれています。

9世紀の唐時代の中国の社会・風習についての記述も多く、貴重な史料として高く評価されています。

1291(正応4年)に京都の長楽寺の兼胤という僧が、72歳の時に書写した写本が、明治時代に東寺で発見され、1955年には、駐日アメリカ合衆国大使「エドウィン・O・ライシャワー」が英訳して紹介したものが、各国語に翻訳されて広く知られる所となりました。ライシャワーは本書の英訳と研究によって博士号を取得ています。