「くじらもち」とは?

「くじらもち」は、山形県新庄市の最上地方、及び青森県鰺ヶ沢町・青森市浅虫温泉付近で作られている郷土菓子です。山形で「久持良餅」、青森では「久慈良餅」とも書かれます。

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「くじら餅」という名前ですが、材料にくじらの肉を使っているわけではありません。名前の由来の諸説はいくつかあり、保存が効くことから「久しく持つ良い餅」だといわれ「久持餅(くじらもち)」という名が付いたという説や、サイズの大きさからくじらに例えた説、見た目がくじらの皮付きの脂身を塩漬けにした塩くじらに似ていたからという説、江戸時代に、新庄藩の第3代藩主・戸沢正庸(とざわまさつね)の時代に兵糧食としてつくられていたという説などがあります。

くじらもちは、もち米とうるち米の粉を水で練り、箱の中でのばし、ムキ胡桃(くるみ)、砂糖水を加えて、せいろで蒸したもので、白砂糖、黒砂糖、醤油、味噌、あんこ入りなど多彩な種類があります。

旧暦の桃の節句(4月3日)に雛菓子と一緒に「くじら餅」をお供えする風習があり、大皿に盛り付けて、雛壇の前にお供えし、これを食べながら春の訪れを祝いました。