解説
今回は、「岐阜県」に関する問題です。
「さるぼぼ」は、飛騨高山など岐阜県飛騨地方で昔から作られる人形の民芸品です。飛騨弁では、赤ちゃんのことを「ぼぼ」、「さるぼぼ」は「猿の赤ん坊」と意味です。
この「猿」は災いや疫病などが「去る」という言葉にかかっていて、厄除け祈願を意味する縁起を担いだ言葉で、また、「猿」を音読みすると「えん」となり、「縁」や「円」という良い意味を持った言葉にも繋がっています。
さるぼぼの特徴的な点として、「顔がないこと」が挙げられます。さるぼぼは「人を写すもの」として表情を与えられていません。作り手の感情が移らないように、また、表情を固定せず持ち手がその時々に表情を感じられるようにのっぺらぼうのデザインになっているそうです。
さるぼぼの源流を辿ると、奈良時代に遣唐使が唐(中国)から伝えた「這子(ほうご)」や「天児(あまがつ)」と呼ばれる形代が原型であると言われています。
最初に当時の貴族の間で”産屋のお守り”として正絹で作られたものが流行して、その後、家にある余り布などで作られた物が徐々に民間に広がっていく中で「安産」や「良縁」「子供の成長」「無病息災」などを願うお守りとされていきました。
しかし、時代の流れとともに新たな人形が作られたり外国からもたらされたことでこの人形文化が廃れていき、山間部で異文化の影響を受けにくい地域(飛騨地方など)に残ったと言われています。